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つぶやきコラム7:審査が甘いJBICに借り換える!?


インド・マハラシュトラ州の政府高官による「ムンバイ都市交通プロジェクトの融資先に関して、審査のうるさい世界銀行から、審査の甘いJBICに借り替えたい」との発言が地元紙「Daily News & Analysis」の5月18日記事(下記参照)で報道されています。この新聞記事がきっかけとなってJBICが大きな注目を集めています。

もともとムンバイ都市交通プロジェクトは、インド経済の中心地ムンバイ市(旧ボンベイ)の交通渋滞を緩和させるために、電車、地下鉄、バス路線などの整備を目的として、世界銀行の融資により行われていました。

ところが、このプロジェクトでは様々な問題が住民から指摘されました。プロジェクト計画時に移転する住民の数が、当初8万人と計画されていましたが、実際に工事をスタートすると移転者数は倍以上というずさんなものでした。また、移転した住民に対して支払われるはずの一時金が支払われておらず、移転した住民の収入回復なども出来ていません。さらに、移転先に病院や教育施設などがないことや、移転先が放射性物質を含む有害廃棄物の処分場の近くであることも問題となっています。

これらの問題を詳しく調査するために世界銀行の独立審査パネル(インスペクションパネル・世界銀行のプロジェクトで政策違反があったかどうかを審査するパネル)が現地調査を行いました。2005年12月に、世界銀行はこのプロジェクトで政策違反があったことを明らかにし、2006年3月にこのプロジェクトへの融資を凍結しました。

しかし、ここで何故マハシュトラ州政府高官の口から世界銀行の替わりとしてJBICが出てくるのでしょうか?JBICのガイドラインには、住民移転に関する詳細な規定が定められておらず、JBICの環境社会配慮ガイドラインの基準が世銀の基準と比べてすら低いからだと思います(例えば、移転した住民が新規に土地を購入する際に移転前と同等の土地を購入できるよう補償額を決定する基準などがありません)。

当然、JBICにもガイドラインが存在し、プロジェクトで適用されている基準が国際基準よりも低い場合には、その理由を確認することが義務付けられています。したがって、マハシュトラ州政府高官が「JBICの政策は現地政府の移住政策に忠実」というのは間違いなのです。

しかし、JBICは、インドの州政府高官から「JBICは審査が甘いので多少人権侵害が起きても大丈夫だろう」と思われているようです。こんなになめられてしまってもよいのでしょうか?

(わ)

* * *

以下、その新聞記事の翻訳です(英語の原文はこちらから)。

<翻訳>マハシュトラ州政府(インド)は世界銀行を鼻であしらい、東京に愛を求める
Smita Deshmukh紙
2006年5月18日木曜日

世界銀行は振られ、ビラスラオ氏(インド・マハシュトラ州知事)は日本に資金を求めている。ハネムーンは終わり、世界銀行は州政府の「一番のお気に入り」の銀行ではなくなってしまった。州政府は世界銀行の住民移転政策に怒り、世界銀行から金を借りないことを決めた。州政府の次のお気に入りは日本とインドの金融機関である。インフラプロジェクトの資金探しは州知事の中で重要な政治課題のひとつであると考えられている。彼は国際協力銀行(JBIC)と来月(6月)に話をする予定になっている。

同時に州政府は路上生活者の移転に関する事業「Mahatma Gandhi Pathkranti Yojana」で、世界銀行からの融資を受けないことを決定した。つまり、州政府の決断はムンバイ都市交通プロジェクト(MUTP)が世界銀行との最後の大きなプロジェクトになるということである。

「我々は契約を結ぶ時に、住民を移転する際に(現状よりも住民の生活環境が)悪化してはいけないという部分を見落としていた。厳密に言えば、小売店主にこの政策が及ばなければ我々は安全だが、世界銀行はそれを受け入れてくれない」と、政府高官は言っている。

州政府は世界銀行が住民の移住地に送ってきた審査パネル(インスペクションパネル)の方針に対し頭にきている。別の政府高官はこうも言っている。「審査パネルは金や資産をもっと欲しいと思っている人たちに質問をしており、それがそのまま世界銀行の理事へと報告される。このようなことで好ましくない結果が出ることは多くの世界銀行のスタッフも知っているはずだが、何も出来ない」

「世界銀行は我々に小さなことに関し、ひとつひとつ対応して欲しいようだが、多くの人が移住する必要がある場合、それは非常に難しい。世界銀行は移転した人々と話をさせて欲しいと言っているが、その要求は絶対に受け入れることは出来ない」と政府高官は言っている。このような状況下で、JBICの政策は現地政府の移住政策に忠実であるため(世界銀行の政策より)受け入れやすい。

世界銀行によれば、政策を変えないとのことだ。世界銀行の都市交通プロジェクト専門家のフバート・ノーブ・ジョッサーランドは、「我々はコンサルタントを3月に送り、世界銀行が移転計画の中で求めている全ての重要な行動の経過のモニタリングを支援している」と言っている。

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